古代鋳銅文化と一言でいいましても、その関連する研究、技術分野はきわめて広く、地域的には中国大陸、東南アジア、朝鮮半島、日本列島など、独自の鋳造文化・工芸を発達させてきました。鋳銅文化の淵源は、中国大陸であるとしても、各地、各地で独自の文化・工芸を生み出してきたと言ってもよいでしょう。それを地位軸と、時間軸とで解明して行こうとするのが、この学会の主旨であると思います。もちろん、時代と地域―空間との間には、多くの要素があります。
採銅、採鉛、採錫にはじまる原料調達を主とした研究、熔銅に用いる燃料研究などのうえに、鋳銅工芸があると言えるでしょう。思いのつくまま記しても多くの研究課題が横たわっています。その後の磨きや渡金、象嵌など、さらに広範な工芸技術があります。
地域的には、中国、韓国、日本などからの参加があり、研究分野あるいは技術分野も多岐にわたっております。この研究会を通じて、どちらかと言えば独自に進めている工芸や研究を、許される範囲で、皆で共有し、新たな研究成果と、技術向上を得たいと思います。
浅学の身でありますが、斯学の発展に少しでも寄与いたしたいと思ってやみません。
アジア鋳造技術史学会 初代会長
菅谷 文則
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